開発ストーリー
ブラックシード バリアバーム
- 作りたいのは究極のレスキューバーム
当初、「ブラックシード バリアバーム」は定番化する予定はなかったのですが、驚くほどお客様からご好評をいただき、乾燥が気になる秋冬に毎年数量限定で発売させていただくことにしました。お客様の中には、バームを気に入ってくださり、当時コフレを8個も購入してくださった方もいらっしゃったそうです。
私は“バーム”というものは、皮膚で困っているときや、トラブルがなくても唇や目のまわりが部分的に乾燥しているときに使うものだと認識しています。ですので、ただ単にオーガニックの植物オイルとミツロウを入れて固めたようなシンプルなものには絶対にしたくありませんでした。作るなら究極的に素晴らしい成分をたくさん配合して、乾燥に立ち向かえるバームを作ろうと思って商品開発に励みました。
- オレンジ色の秘密は江戸版バームにも使われた紫根
バームの美しいオレンジ色についてお話します。ひとつは「紫根」の赤紫色です。江戸時代の外科医・華岡青洲が創案した「紫雲膏」という軟膏があるのですが、それに紫根が使われています。紫根は「むらさき草」という植物の根のことを言います。むらさき草自体は白い花を咲かせるのですが、根っこ(=紫根)は赤い色素成分のシコニンやアセチルシコニンを含み、鮮やかな赤紫色に染まっているのが特徴です。
そもそもむらさき草は『万葉集』にも謳われるほど歴史が古く、江戸時代には「江戸紫」として染色にも使われるほど親しまれていましたが、現在の日本では、国産の紫根は非常に少なく、主に中国産のものが多く出回っています。海外産の紫根だと、江戸の民に愛された日本固有の在来種とは異なってしまうので、私は国産の紫根にこだわりました。ですが、むらさき草は絶滅危惧種に指定されていて、且つ育てるのが難しい植物です。以前、アムリターラ農園でむらさき草を育てたことがあるのですが、日光が当たり過ぎても暗すぎてもダメで、栽培に苦戦した記憶があります。
アムリターラの商品だと、「ピュア トリートメント リップグロス」(現在は終売)や過去のコフレにお付けした「ヴィーナス レッド オイル セラム」にも紫根を使用していて、それらを開発した際に国産の紫根を探し回りました。その結果、北海道で染色家の方々が守り育てていた、農薬不使用の紫根に出会うことができました。もちろんバームにもたっぷり使わせていただいています。
- 最強の成分である赤い色素のアスタキサンチン
オレンジ色のもうひとつの秘密は「アスタキサンチン」です。「フィトエナジー リップクリーム」や「ライス&グレープ ラディエンス クリーム」にも配合している成分なのでご存じの方も多いのではないでしょうか。アスタキサンチンといえば、サケやエビ、カニに含まれる赤色の色素です。そして実はフラミンゴの綺麗なコーラルカラーもアスタキサンチンによるものです。フラミンゴは赤道直下に棲息しているため、紫外線に抗うためにもアスタキサンチンの力が必要なんです。
アスタキサンチンの大元は「ヘマトコッカス藻」という藻です。もともとは緑色をしているのですが、紫外線を浴びるとそれに抗うためにアスタキサンチンを産出します。
私は、紫根とアスタキサンチンは最強の成分だと思っていて、アムリターラで使用している成分の中でも「神成分」と言っても過言ではありません。この2つの成分を配合している点でも、バームに込めた熱量や想いを分かっていただけるのではないかなと思います。
- ツタンカーメンのお墓からも発見されたブラッククミンシード
バームの最大の特長であり、商品名にもなっている「ブラックシード」ですが、正式にはブラッククミンシードと言います。ニゲラ・サティバという青い花を咲かせる植物の“種”のことを指し、スパイスのクミンとは全くの別物です。
非常に長い歴史をもつ伝統的な植物で、古代エジプトのツタンカーメンのお墓から発見されたり、クレオパトラは美しい髪と肌のためにブラッククミンシードのオイルを使っていたと言われたりもしています。これらのエピソードを知ったときに、とてもパワフルな植物だなと思ったんです。
ブラッククミンシードのオイルには、ビタミンAやビタミンB6、ナイアシン、オメガ3、オメガ6、チモキノンなどさまざまな成分が含まれています。アムリターラの食品・サプリメントの開発を担当している亀山は、かなり前からブラッククミンシードオイルに注目していて商品化するために模索していたのですが、今回満を持してまずはバームに使用することができました。
- アムリターラの代表成分を凝縮させたバーム
バーム単品での商品化にあたり、新たに「キャロットオイル」を加えました。熊本県で自然栽培で野菜を育てているなないろ農園さんの、紫色やオレンジのカラフルな人参を使わせていただいています。人参の種子のオイルではなく、オリーブスクワランに人参を漬け込んで抽出したエキスを配合しました。
キャロットオイルは皮膚の保護にとても役立つオイルで、「ラインリリース モイストアップ アイクリーム」にも同じものを使用しています。
ここまでバームの成分を中心にお話しましたが、「ブラックシード バリアバーム」は、アムリターラの代表的な成分をひとつに凝縮させたとても豪華なバームに仕上がったと思います。2025年3月には限定アロマ「YAKUSHIMA」も発売しますので、これからも多くの方にご愛用いただけると嬉しいです。