サスティナブルコラム

「菌」の大切さに気付いたきっかけは?

アンチエイジングの研究を進める中で、腸内環境は腸内細菌と、肌環境は皮膚常在菌と密接な関係にあると知りました。「菌と共に生きていかないと、アンチエイジングは叶わないんだな」と研究の早い段階で気付きましたね。

 

そんな中、一番大きなターニングポイントとなったのは、2008年1月に千葉県の造り酒屋「寺田本家」さんに見学に伺ったことだと思います。アムリターラを創業する半年前のことです。

 

寺田本家

そのときの当主であった寺田啓佐(けいすけ)さんに「善玉菌とか悪玉菌というのは人間が勝手に決めているだけで、微生物の世界に良い菌も悪い菌もない」というお話を聞きました。どんな菌もそこにいる意味があって、「発酵場」を整えて菌のバランスを保つことで、悪玉菌が過剰に繁殖せずにお酒の味が悪くなることはないと仰っていました。それを聞いて「なるほど!」と思いました。

 

菌は自分の役割を果たすとスッといなくなって、次々と別の菌にバトンタッチしていきます。たくさんの微生物が支え合いながら命をバトンタッチして、全体の調和を保つのが菌の世界なんだと寺田本家さんで気付かされました。このときの「なるほど!」がなかったらここまで深くオーガニックの世界に入っていなかったかもしれません。あと、当主の寺田啓佐さんが書いた『発酵道』という本も読んで、すごく感銘を受けました。

寺田本家

 

また、ナチュラル・ハーモニーの代表・河名秀郎さんの「自然栽培の野菜は腐らずに発酵する、あるいは美しく枯れる」という考えにも共鳴していたので、「私は腐る女ではなく、発酵する女になりたい(笑)」と思うようになりました。菌の種類やバランスによって自分を腐らせるのではなく、発酵させたいというのは私のアンチエイジングのベースにあります。

 

もうひとつのターニングポイントは「新型コロナウイルス」です。コロナ禍で、世の中が常に手指の消毒や殺菌を促すようになりました。私は寺田本家さんの影響もあり、菌やウイルスなどの微生物をやみくもに殺すことの恐ろしさを分かっていました。ウイルスや菌を目の敵にして、殺菌を繰り返してもキリがありません。もともと私たちは微生物(菌やウイルス)だらけの自然界の中にいて、自分の免疫を鍛えながら生きていくことが大事なはずなのに、殺菌しすぎるとウイルスや菌に対して抗えない身体になってしまって、生き物として脆弱になるばかりだと思うんです。

 

発酵食品

こういう世の中だからこそ、アムリターラで味噌や甘酒など多種多様な菌によって育まれた発酵食品を取り扱えてよかったなと思います。最近の味噌やお酢はものによっては、速醸法と呼ばれる強制的に発酵を進ませるやり方で製造したものもあります。そうすると菌がしっかり働かず、旨みや香りがあまり出ないので、化学調味料などの添加物を加えることになるんです。私はこの現実を知って愕然としました。だからアムリターラでは、速醸法ではなく微生物の働きを最大限生かした味噌やお酢、醤油、味醂などを作っています。

発酵食品

 

あと農薬不使用の野菜を食べているだけでも違います。農薬を使用している野菜と比べて、微生物たちの数も違いますから。例えば今免疫力をUPさせることで注目されている「LPS」という成分はグラム陰性細菌の細胞壁の外側の部分にあるのですが、実は無農薬の根菜や葉菜、林檎などにも含まれています。口から摂取することで身体全体のマクロファージを活性化出来ますが、肌につけることでも肌のマクロファージであるランゲルハンス細胞を活性化して、バリア機能を高めたり傷ついた肌を修復したりする働きがあります。

 

食生活で摂り入れている発酵食品は?

発酵食品

自分で漬けた漬け物や納豆、味噌、お酢、醤油など昔から日本に伝わるさまざまな発酵食品を摂り入れるようにしています。特別なことをしても私はあまり長続きしないので、発酵食品や自然栽培の野菜を日常的に摂ることで良い菌バランスを目指しています。あと菌類のエサになる食物繊維も摂ります。話しが少し逸れますが、実は私、「海藻命」なんです。昔から海藻が大好きで、ワカメ・もずく・ひじき、昆布などよく食べますね。

発酵食品

 

菌系のサプリメントだと、最近の私の腸には<スキンモイストキープ>と<大草原の乳酸菌 NS-Max>がよく合うみたいで、お通じの調子がいいです。

 

肌に棲む菌のために気を付けていることは?

肌の微生物(皮膚常在菌)に良質なエサを提供したいので、良い油と良い水分を意識しています。具体的に言うと、自分の出す皮脂(油)と自分の出す汗(水分)ですね。私は汗をかきにくい体質なので、43~44℃の熱めのお風呂に10分ほど入ったあとにバスローブを着るんです。そうすると顔にも汗をかきます。

 

藍石けん

そして、あまり顔を洗いすぎないこと。冬はクレンジングだけで終わることもあります。夏は石鹸を使うこともありますが、Tゾーンだけ泡をのせて、あとはそのまま流れる泡で顔全体をすすぎます。アムリターラのスキンケアを使っていると、肌に棲む菌が喜んでいるような感じがします。

藍石けん

 

あとは深い呼吸をすることと、酸素を運んでくれる血液の流れを良くすることも大事です。血流がいいと栄養素を身体のすみずみまで届けられますし、悪いものも回収できます。流れのいい身体は、良い微生物が生きられる身体なんじゃないかなと思いますね。

 

コロナ禍で始めた「筋トレ」について

コロナ禍で始めた筋トレ

週2回ほどジムに通って、筋トレとキックボクシングをしています。45歳頃から徐々に代謝が落ちてきたような気がしたんですが、あまり実感はありませんでした。オーガニックの食べ物とスキンケアだけでなんとかなると思っていたのですが、それだけでは追いつかないと思ったのが49~50歳の頃。

 

運動をしないと代謝も筋肉量も落ちる一方だなと思って、2年前からやり始めました。その甲斐あってか、身体も引き締まって、肩凝りしにくくなり、白ニキビがたまにできるくらいで肌荒れすることはないですね。

コロナ禍で始めた筋トレ

 

腸活はどのような人におすすめ?

便秘で悩んでいる人、肌荒れしやすい人、風邪をひきやすい人、心の不調を抱えている人ですね。免疫細胞の70%は腸に存在するし、ストレスを抱えている人は「幸せホルモン」とも呼ばれているセロトニンの濃度が低いんですが、セロトニンの70%は実は腸内で作られることが分かっているんです。腸活は心のためにもおすすめです。