サスティナブルコラム
アムリターラが取り組む「社会のFLOW」
~循環の源、「海」を守るために~海洋プラスチックごみ問題
- 生命の源「海」にあふれるプラスチック
雨が降って川となり、その水はやがて海へ流れ、暖かい土地で雲となり、また雨となって地に降り注ぎます。その長い道のりの全ての場所で、動植物の命が芽生えては朽ち、また芽生え、全体が循環することで地球が生きています。あらゆる命は、FLOW(循環)のもとに成り立っているのです。FLOWを支えている生命の源「海」が今壊れかけています。
私たちが使い捨てているプラスチックごみのうち、再利用されずに自然界の中に残ってしまったものの一部は最終的に海に行き着きます。世界では合計1億5,000万トン以上の量のプラスチックごみが海に溢れていると言われ、更に毎年800万トン以上のプラスチックがゴミとして海に流れ込んでいます。このペースで汚染が進むと海中のプラスチックは2050年までに魚の量と同じになると予測されているのです。2050年、もうすぐそこまで来ています。
- 増え続ける海洋プラスチックごみ
海洋プラスチックごみの多くは、ごみが適正に処理されていないアジアの途上国の沿岸部や、そのごみが海に流出することで発生しています。街中でポイ捨てや放置されたプラスチックごみは、河川などを通じて海へ流出すると、一部は漂流ごみとして海面や海中を漂い、潮に乗って遠くまで運ばれることもあります。漁具や瓶缶は海底に沈み、海底ごみに。レジ袋も沈んでいるそうです。
マイクロプラスチックの問題もあります。細かく砕けたプラスチック粒子「マイクロプラスチック」は、川や海に流れた際に魚介類が食べてしまうことがあり、海洋汚染の原因の一つになっています。海洋で検出されるマイクロプラスチックの主要発生源は、車両のタイヤが摩耗した際に飛び散る粒子が多くの割合を占めており、そのほかにも、処理されずに流出したプラスチックごみも、例えば海岸での波や紫外線等の影響を受けるなどして、やがて小さなプラスチックの粒子となります。5mm以下になったマイクロプラスチックは数百年間以上もの間、自然界に残り続けると考えられています。
- 生態系への影響
国連広報センター公開の海洋プラスチックごみ問題に関する映像の中で、海辺で死んでいたミズナギドリ(海鳥)の胃を開いたらプラスチック片がぱんぱんに詰まっている様子を見ました。海洋科学者曰く、生後90日のヒナから276個のプラスチック片が出てきたこともあるそうです。体重の15%、人間に置き換えると6~8キロのプラスチックが体内にある計算です。
海鳥だけでなく、海洋ごみの影響で魚類、アザラシなどの海洋哺乳動物、ウミガメを含む少なくとも約700種もの生物が傷つけられたり死んだりしています。このうち90%以上がプラスチックの影響、例えば漁網に絡まってしまう、ポリ袋を餌と間違えて摂取することによるものということです。プラスチックごみの摂取率は、ウミガメで50%以上、海鳥では90%とも推定されています。魚が餌と間違えて食べたマイクロプラスチックは、当然魚を食べる人間の私たちの体にも無関係とはいきません。
- 私たちにできること
プラスチックごみの問題を解決するためには3つのRが必要だと言われています。
① リデュース(Reduce)=出すごみの総量を減らすこと
② リユース(Reuse)=再利用すること
③ リサイクル(Recycle)=再生産に回すこと
①に関しては、国や企業などの組織としてはもちろんですが、個人としてもすぐに始められます。既にレジ袋を使わない、マイボトルを携帯する、量り売りや詰め替えを積極的に利用するなど、ライフスタイルに取り入れている方も多いと思います。②と③について、アムリターラの取り組みをご紹介します。アムリターラの取り組み
◎リサイクルプロジェクト「アムリサイクル」アムリターラ直営店にて、使用済み化粧品容器を“資源”として回収し、新たな製品に生まれ変わらせるリサイクルプロジェクト「アムリサイクル」。廃棄物として扱われるプラスチックを減らすことで環境負荷を低減し、持続可能な社会の実現を目指しています。
◎エコ資材の活用廃棄されるペットボトルをリサイクルすることで生まれる「再生ポリエステル」を直営店の制服に一部使用。また、限定で発売されるコフレのポーチやレジ袋削減のためのマイバッグには海洋ごみ(ペットボトル)からつくった再生PET繊維を採用しました。
その他、資材に関しては下記のような取り組みを行っています。- 外箱やショッパーなどは、森林と環境に配慮した紙を採用、化粧品のトライアルサイズの外袋は環境にやさしい石灰石を使った「ストーンペーパー」を使用
- OPP袋の使用は必要最低限に留め、順次バイオマスプラスチックが配合されたものに切り替え
- 化粧水やコンシーラー、ファンデーションなどはレフィルを用意。容器やコンパクトを繰り返し使用していただくことで、プラスチックの使用や廃棄の削減につなげる
- 廃プラスチックや使用済みプラスチックからできる「再生原料」を主原料とした気泡緩衝材を採用
- 紙の緩衝材には100%再生紙を採用
詳細はこちらをご覧ください。
- 美しさは循環する
ある週末、4歳の息子と公園で遊んでいると、私たちの足元に汚れたレジ袋と飲み物が残ったペットボトルが泥まみれで転がっていました。触ろうとする息子に向かって「汚いから触っちゃダメ!」と言いかけたところでその言葉を飲み込み、「そのごみをごみ箱までもっていこう。中に残っているジュースは水道のところで一回流して濯ごう」と言い直しました。
不思議そうに見上げる彼に「このままにしておくと、雨が降った時に川まで流れて、最後は海にたどり着いて、お魚や亀さんが間違えて食べてしまうかもしれないよ」と言うと、息子はとても悲しそうな顔をしてごみを拾い上げました。ごみは拾ってしかるべき処理をし、そのあと手を洗えばいいのでした。
真の美しさとは、浄化とは何なのか、この数年の禍の間に私たちは何を学んだのでしょうか?自分の周りばかり殺菌滅菌するのではなく、自然が循環し続けるためにできることを、皆さんとともにひとつずつ実行していきたいのです。私たちの体も肌も、毎日食べたものと置き換わり、毎日使うものや環境の影響を受けて育まれています。
真の美と健康は、地球環境と切り離せない、アムリターラはそう考えます。
- アムリターラの取り組みについて参考文献:
環境省 ecojin 海洋プラスチックごみWWFジャパン 海洋プラスチック問題について
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3776.html