サスティナブルコラム
お米の表示ルール変更について
- ルール変更前について
商品表示(ラベル)には、購入の判断に必要な情報が詰まっています。
今回のコラムでは、食品表示ルールが変更になった「お米」の表示について解説します。まず前提として、ルール変更前は、農産物検査による証明がある玄米・精米以外は、産地、品種、産年の表示はできませんでした。(簡単に言うと農協などの民間の登録検査機関の検査を受けていないとラベルの表示に制限があるということです)
農産物検査の内容
- 品位等検査:種類(もみ、玄米、精米)、銘柄、品位(等級)、量目、荷造り、包装
- 成分検査:たんぱく質、アミロース
農産物検査には「銘柄」の検査があります。都道府県ごとに設定されている銘柄や、全国共通の銘柄であるかを目視で鑑定、もしくは種子の購入記録、栽培記録などの書類により審査します。ですが、アムリターラで取り扱っているお米は品種登録されていない古い銘柄のお米(穂増、旭一号、イセヒカリなど)や、そもそも毎年種子を購入せずに自家採種によりお米を育てている農家さんとお取引をしていることから、農産物検査を受けていません。そのため、今まではラベルに「未検査米」と記載していました。
- 今回の改正内容について
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今までは「未検査米」としていましたが、食品表示基準の一部改正(ルール変更)により、令和3年7月1日から、農産物検査による証明を受けていない場合であっても、産地、品種及び産年の根拠を示す資料を保管することで、産地、品種、産年の表示が可能となりました。つまり、ラベルに表示するためには農産物検査を受けることが絶対条件でしたが、法改正により、資料があれば品種などを表示できるということです。
ここで重要なのが「根拠を示す資料」です。農産物検査による証明を受けていないお米に関しては、①どのような種苗を用いたのかが分かる資料(種苗の購入記録など)と、②作付状況が分かる資料(水稲共済細目書異動申告書や営農計画書など)が必要になります。
アムリターラでお取引のあるような、普段農協などとやり取りしていない自然栽培の農家さんにとってこれら膨大な量の資料を、毎日の農作業と並行して用意することは負担が大きく、現実的なことではありません。また、種苗の購入記録を例に挙げても、毎年自家採種でお米を育てているので、農協などから種子を購入しておらず、購入記録を提出することは難しい状況です。(法が認める資料を提出したくても、資料を作成する手立てがない状況です)
- アムリターラで販売するお米のラベルの変更点
そのため、今回の法改正により、今まで「未検査米」と表示していたところを「複数原料米」という表示にせざるを得なくなりました。産地、品種及び産年が同一であり、かつ、その根拠資料の保管をしているものについては「単一原料米」と表示することができますが、それ以外の場合は「複数原料米」となってしまうのです。
アムリターラで販売しているすべてのお米は、中身は一つの品種なので「単一原料米」という表示にしたいのですが、確実にトレースできる資料を揃えることが難しいため、「複数原料米」という表示になってしまいます。
ラベルは上記のように変更となりますが、お米はこれまで同様、熊本県の農家さんたちが、農薬も肥料も使わずに、自然栽培で手間を厭わずに丹精込めて育てたお米であるということに変わりはありません。お客様には安心して美味しいお米を召し上がっていただければと思います。
- アムリターラが検査にこだわらない理由
- 1年ごとに種苗を買うのではなく、農家さんが自家採種を続けることで生まれる、その土地ならではの味わいや個性を大切にしています。
- 品種改良の進んだお米にはない昔ながらの味わいや特色をもつ在来種のお米の素晴らしさを広めたいと考えています。
- 栽培利便性の追求などにより廃れた古い品種(品種登録されていないお米)を復活させた農家さんの想いを尊重しています。
- 米穀検査には、第三者機関による米粒サイズや着色米などの外観の検査や品種、年度・産地などの検査はありますが、「農薬・化学肥料の不使用」といった栽培環境に関する検査や、食味に関する検査はなく、生産者と直接取引を行っているアムリターラでは上述の検査を省略しているため、産地や品種などに関し「未検査米」とし、単一品種であっても「複数原料米」との表示になっています。