酸っぱいだけではない梅の妙味
鶯宿梅の梅干しは、柔らかい食感の南高梅に比べ、実に締まりがあり、しっかりとした食感が特徴です。まさに体が欲しがっていることを実感できる、そんな味わいです。
昔から梅は、食の養生の最たるものとして民間で広く使われ、健康維持に役立つ果物として重宝されてきました。
鴬宿梅は品種改良を施しておらず、どっしりとした無骨な外観を持ちますが、その栄養価は高く、梅干しの全国標準値(財団法人日本食品分析センターによる)と比較しても豊富です。
全国標準値と比較すると、ビタミンA(βカロテン)は約23倍、鉄分も約10倍、ビタミンB2・E、葉酸は約5倍、亜鉛は約3倍、それに対し食塩相当量やナトリウムは約半分の数値です。
梅には有機酸が多く含まれ、クエン酸・リンゴ酸・コハク酸・酒石酸・カテキン酸など、各種有機酸を含みます。
梅一升に塩二合
早春には凛とした花が咲き、6月には青梅がすっかりふくらみます。
熟度がのって、お尻がポッと色付いた青梅を海水天日塩で下漬けします。
夏の土用の頃、南国宮崎の太陽にあてて梅に皺がよるまで干したら、今度は下漬の際に取れた梅酢と紫シソの葉と一緒にじっくり3年間本漬けします。
出来上がった梅干しは、酸味と塩気の塩梅がちょうどよく、有機酸(クエン酸)・カルシウム・鉄分・たんぱく質・ミネラルを含んでいるので舌に転がすと深くてあたたかい味が広がります。